【販促・広告POP】試作品を真空成型で依頼するまでの流れを徹底解説!工場選びが重要
真空成型の試作を工場へ依頼したいけれど、「どこに頼めばいいのか分からない」、「こんなの作りたいけどできるのか?」とお悩みではないでしょうか。
こんにちは、吾嬬製作所代表の松村昌幸です。
この記事では、老舗真空成型加工工場の社長が、真空成型で加工された製品のご紹介とお問合せ〜お見積りまでの流れを詳しく解説いたします。
この記事のポイント
- 真空成型の基礎とメリットが分かる
- 加工工場へ問い合わせた際の細かな流れが分かる
- コストを下げるコツを知ることができる
真空成型の特徴|射出成型よりも1/10安い!?
真空成型とは、温め、やわらかくした板状のプラスチック材料(熱可塑性樹脂)を型に合わせて真空吸引し、形づくる成型方法です。真空成型の主な特徴をご紹介いたします。
- 小ロット(1個から)生産できる
- 生産数量により木型でも生産可能。最適な型の素材が選べるため、納期短縮・コストダウンにつながりやすい
- 凸型もしくは凹型の型を作れば成型が可能
- 射出成型※に比べコストが1/6〜1/10程度と安い
- 試作してからのカスタマイズ・調整が容易
※射出成型…溶かしたプラスチックなどの材料を金型に流し込み、冷却・固化させる成型法
では、真空成型で作られた製品には一体どんなものがあるのか、見ていきましょう。
製品紹介|販促、広告のアイディアに
「真空成型」はとても身近な存在で、生活のあちこちで「真空成型で作られた製品」が活躍しています。ここでは実際に販促・広告等で使われたものをご紹介いたします。
イベントの企画をされている方、このような経験はありませんか。
- 急遽展示会用に◯個必要になった
- PRイベント用に◯個作ってほしい
- 新商品の撮影に使用するため、最短納品してほしい
- 海外生産の見本となるレベルのものを作成してほしい
再現性の高さ、短納期、小ロット生産を実現できるか否かは、工場次第です。どこまで対応が可能か工場に事前確認をとりましょう。
スピードと高品質が求められる製品は、豊富な経験を持つ吾嬬製作所にお任せください
こちらは実際に販売されているシャンプーボトルのミニチュア版として、店頭での販促用に作られた製品です。
こちらは電車の中吊り広告用として使用された製品です。米粒の立体感を表現するために、実際におにぎりを握り、3Dスキャナを使用して繊細な凹凸感を再現しています。
【#八トタ写真館】3897回目は、今夜山手線神田駅②18:39発1723G外回り東京・品川方面行トウ531編成(10号車)
日本コカコーラ<からだすこやか茶W>ADトレイン車内で面白い中吊りを発見!! pic.twitter.com/AKZ39rQ7E1— 八トタ (@omeliner) February 6, 2016
実際に電車内で使用されていた際のお写真。こちらは両面に同じものを貼り合わせて、裏表のない立体的なデザインになっています。真空成型品は軽いため、吊り下げたり、紙に貼り立体感を出すのにも向いています。このような目を引くデザインは広告との相性が良くお勧めです。
富士山を登頂すると買うことができる、模型をハガキにしたこちらも真空成型で作られています。凹凸感はもちろん、印刷成型の精巧さが分かっていただけるのではないでしょうか。
印刷成型の詳細については下記よりご確認ください。
「型」は不可欠|有る無しで納期やコストも変わる
ここまでで「真空成型でどんなものが作れるのか」が、大体分かっていただけたかと思います。早速工場へ発注したいところですが、その前に!真空成型に不可欠な「型」はお持ちですか?型の有る無しで納品までの日数、費用が大きく変わってきます。
型がなくても問題ありません。作りたい元の製品があればそこから型の製作を、製品もなければゼロから作ることが可能です。
「型」とは
先ほど「型」は真空成型に不可欠だと言いました。そもそも型とはどういう役割なのか。下記のイラストを使って、真空成型の加工方法をご紹介いたします。
※スカイツリーが「型」。黄色いシートが「プラスチック材料」
①プラスチックシートを加熱する
②やわらかくなったシートを型に押し付け吸引する
③スカイツリーにシートがへばりついて形成し、シートの形状が戻らないよう冷却する
④完成!
スカイツリーの頭の形に成型されたシートが、納品される
このように型をもとに成型するので、型無しで真空成型をすることは不可能なのです。型の種類だけでも金型、樹脂型、木型、石膏型などさまざまあり、この型の製作がコストの大半を占めます。
真空成型は成型圧力が低く、金型に金属以外の材料(樹脂など)を使用でき、凸型または凹型のどちらか片側だけの金型を作れば成型できるため、金型製作期間が短くコストが安いことが特徴です。
参考画像「金型」
3パターン紹介|お問合せ〜お見積りまでの流れ
工場に生産を依頼する際は、事前に複数社に問い合わせて相見積りを取ることでしょう。見積りの精度は、希望コスト、用途などあらかじめ提供する情報によって大きく変わります。
スムーズに進行させるために「準備しておくべき事柄」と「どのようなスケジュールになるのか」をご紹介いたします。
店頭POPや、看板、販促品などの制作をお問合せ頂いた場合の「お見積り」までの流れです。
1)型がある
既に型がある場合は、社内に使える型が残っているか確認をしてみてください。また、工場で型の保管を依頼しているのであれば、保管期間が過ぎていないかも併せて問い合わせてみましょう。
1)お問い合わせ内容の確認
①詳細確認
下記の項目について予めご用意ください。
【製品についてのご要望】
- サイズ
- 厚み
- 材質
【納品後の使用について】
- ご使用シーン(展示方法、設置方法、屋内/屋外)
- 触られることが多いか・繰り返し使用するか
- 想定される使用期間
【お持ちの「型」について】
- 型の素材
- 型のサイズ
- 型の外観(ひび割れていないか、溝が埋まっていないかなど)
【その他】
- 納期
- コスト
- 作成数(ロット)
コストのイメージがない方は、何パターンかの見積り依頼をし、比較することをお勧めします。
②型の現物を送る(または写真)
型を配送する際は、通常の宅配便でOKです。割れないよう厳重に梱包してください。直接細かい質問や指示をしたい場合は、訪問しても良いか工場に確認するとスピーディーに進めることができます。
工場で現物確認後、問題なく使用ができるようであれば、そのまま使用します。
型に破損などが見受けられる場合は、型の作り直し、または修理のご案内をさせていただきます。
当社の場合ですと納品のタイミングで型を返却させていただいております。返却時期のご希望があれば柔軟に対応いたします。
③印刷をするかどうかの確認
印刷をご希望の場合はお客様で作成されたデザインデータを工場へお送りください。(イラストレーター、PDF、イメージ写真など可)
2)お見積り
正式なお見積書を発行いたしますのでご確認ください。(所要日数:通常3営業日程度)
2)製品がある(型はない)
製品はあるが、型がなく製作を依頼する必要がある場合には、製品または製品データを工場へ送ります。工場にもよりますが、フィギュアなど3Dプリンタで作ったものも受け入れ可能です。吾嬬製作所で受け入れ可能なデータは下記の形式のデータになります。
ファイル形式 | |
---|---|
2次元データ | DXF |
3次元データ | IGS、STEP |
1)お問合せ内容の確認
①詳細確認
下記の項目について予めご用意ください。
【製品についてのご要望】
- サイズ
- 厚み
- 材質
【納品後の使用について】
- ご使用シーン(展示方法、設置方法、屋内/屋外)
- 触られることが多いか・繰り返し使用するか
- 想定される使用期間
【その他】
- 納期
- コスト
- 作成数(ロット)
コストのイメージがない方は、何パターンかの見積り依頼をし、比較することをお勧めします。
②製品の現物を送る(または写真)
製品を配送する際は、普通の宅配便でOKです。割れないよう厳重に梱包してください。直接細かい質問や指示をしたい場合は、訪問しても良いか工場に確認するとスピーディーに進めることができます。
③製品の採寸
複雑な形状でも問題ありません。
④印刷をするかどうかの確認
印刷をご希望の場合はお客様で作成されたデザインデータを工場へお送りください。(イラストレーター、PDF、イメージ写真など可)
生産工程において、複数の色を使った印刷成形の場合、一発OKはほとんどありません。調整の為のデータ直しに時間を要します。
2)お見積り
正式なお見積書を発行いたしますのでご確認ください。(所要日数:通常3営業日程度)
3)イメージ写真やラフ画から作る(型と製品なし)
型も製品も持っていない、イメージ写真やラフ画からの製作もOKというケースも多いので工場に確認をしてみてください。細かい点を詰めながら、理想を形にしてもらいましょう。
1)お問合せ内容の確認
①詳細確認
下記の項目について予めご用意ください。
【製品についてのご要望】
- サイズ
- 厚み
- 材質
【納品後の使用について】
- ご使用シーン(展示方法、設置方法、屋内/屋外)
- 触られることが多いか・繰り返し使用するか
- 想定される使用期間
【製品のイメージ】
- ラフ画やイメージ写真
参考:スカイツリー型販促品のラフ画イメージ
【その他】
- 納期
- コスト
- 作成数(ロット)
コストのイメージがない方は、何パターンかの見積り依頼をし、比較することをお勧めします。
②印刷をするかどうかの確認
印刷をご希望の場合はお客様で作成されたデザインデータを工場へお送りください。(イラストレーター、PDF、イメージ写真など可)
生産工程において、複数の色を使った印刷成形の場合、一発OKはほとんどありません。調整の為のデータ直しに時間を要します。
2)お見積り
正式なお見積書を発行いたしますのでご確認ください。(所要日数:通常3営業日程度)
試作に向く型とは|予算にあわせて相談
ここまで、生産依頼をした場合の一連の流れをご紹介いたしました。先述した通り、型の種類だけでも石膏型、木型、樹脂型、金型とさまざまあり、どの型を選ぶかで仕上がりの品質も異なります。どの素材の型を使用するかは、製品や生産量・ご予算や納期に合わせて決定します。下記に型別の特徴をまとめたのでご覧ください。
石膏型、木型は短期間で製作することができ、お値段も安価です。しかし、成型すると透明感が落ち、すりガラスのような仕上がりになります。また数万回使用が可能な金型に比べ耐久性が弱く、量産向きというよりも試作に向いた型です。
自社で金型を作れる工場は納期が早くなるというメリットも!
型別の詳細については下記よりご確認ください。
まとめ
この記事では真空成型で加工された製品のご紹介とお問合せ〜お見積りまでの流れを解説いたしました。2社以上から相見積もりを取る際は、見積り金額のほか提案力の有無を比較してみるのも良いかもしれません。
工場が持つ経験やノウハウが、製品の仕上がりにも影響します。型や製品をお持ちでなくても、落書きレベルのラフ画から再現してくれる工場もあるので、問い合わせてみましょう。